「低周波音」をまとめてみた

先日このブログでも取り上げた「エネファーム」による健康被害の裁判。

千鳥整体漫録:エネファームで体調不良?低周波音の怖さ

エネファームの「低周波音」により、体調が悪くなったという訴えです。

低周波音による健康被害は、実は年々増えております。環境庁によるパンフレット「よくわかる低周波音」(平成19年)では

近年、低周波音による苦情件数は増える傾向にあります。低周波音への関心が高まったことや、生活の質の向上に伴いよりよい生活環境が求められるようになったことに起因していると考えられています。

一方、低周波音の発生メカニズムや影響などは、一般の方には理解が難しく、不安を招くとともに問題解決の妨げにもなっています。

と書かれています。低周波音問題に取り組む内科医・汐見文隆氏によると、低周波音被害は既に30年以上前から存在していたようです(※1)。

ただ「低周波音」といってもピンとこない人が多いと思います。千鳥整体師自身もそうでした。

そのため、低周波音について色々とまとめてみました。

低周波音ってなに?-定義と説明

環境庁のパンフレット「よくわかる低周波音」では下記のように説明しています。

1-1
(環境庁パンフレット「よくわかる低周波音」より)

まず低周波音の定義は「人間が聞こえない音を含む、1ヘルツ(Hz)から100ヘルツの音」としています。

人間の耳は、20ヘルツくらいの音なら聞くことができますが、低い周波数の音を聞くことは苦手であるため、ある程度「音圧(デシベル)」が大きくないと認識することができません。

1-2
(環境庁パンフレット「よくわかる低周波音」より)

低周波自体は工場や工事現場、ヘリコプターの飛行音、道路高架橋などあらゆるケースで発生し得ます。

そして、今回の裁判でとりあげられた住宅地のエコキュート(自動給湯器類)や、エアコン室外機などからも低周波音は発生するのです。

低周波音が人体に影響するメカニズム

先に書いたとおり、低周波音とは人間には聞こえない音を含みます

しかし、なぜ聞こえない音で体調が悪くなるのでしょうか。

『超低周波音―基礎・測定・評価・低減対策』(中野 有朋(2002)技術書院)という本に、そのメカニズムが記載されていました。

なお、この本では人間が聞くことができない「超低周波音」をベースに説明されていますのでその点ご留意下さい。

音が聞こえる仕組み-可聴音の場合

まず先に、音が聞こえる仕組みを簡単に説明します。

人間の耳に届いた音は「外耳道」を通り、鼓膜→耳小骨(あぶみ、つち、きぬた骨)を経て振動が強められ、「内耳」に到着します。

内耳で「蝸牛」内にあるコルチ器官などを振動し「有毛細胞」を興奮させると、その刺激が内耳神経を通して大脳に到達します。届いた刺激は脳内で「音」として認識されるという流れです。

800px-Anatomy_of_the_Human_Ear_ja.svg
wikipedia「耳」より)

聞こえない音:超低周波音が人体に影響する3つの理由

では、人に聞こえない超低周波音は、どのようにして人間に影響を与えるのか。下記の3つが考えられます。

(1)振動感覚に影響するため

超低周波音を浴びると、聞こえないかわりに全身の皮膚などに散在している「振動受容器」が刺激されます。

代表的なものには「パチニ小体」「マイスネル(マイスナー)小体」が挙げらるのですが、これらが刺激されると人間は「圧迫感」「振動」を感じる・・・という訳です。

常に「圧迫・振動」を感じている状況というのは、人間の肉体(特に脳)にとって、非常にストレスが大きい状態のように思えます。

↓パチニ小体はこちら
patini

(2)加速度感覚に影響するため

耳に超低周波音が入った場合、内耳にある「前庭」や「三半規管」を刺激します。

前庭や三半規管は、体の傾きや加速度的変化を感じ取る場所です。その部位が刺激されることで体の動揺感や、船酔いに似た感覚が生じます。そうすると、家の中にいながらも目眩やふらつきといった症状がでる可能性は捨てきれないでしょう。

(3)聴感覚に影響するため

超低周波音の音圧レベルが大きくなると、聴覚機構に歪みが生じます。可聴音が超低周波によって変調されて聞こえることもあるため、耳鳴りや難聴といった「聞こえ」に影響のある症状がでる可能性があります。

まとめ

以上のように、低周波音と人間の聴覚メカニズムから考えると、「聞こえない音」の刺激を受け取った人が、様々な症状を引き起こす可能性は十分ありえるように思います。

症状として出る・出ないは個人差がとても大きく、家族の中でも健康被害が出る・出ないというのはくっきり分かれるそうです。

もしもあなたが原因不明の体調不良を抱えている場合、自分の家やご近所のエアコン室外機やボイラー、エコキュートやエネファームによる低周波音が原因である可能性も考慮されたほうが良いかもしれません。

なお、低周波音による健康被害については、前述した汐見文隆氏の著書に詳しく書かれております。そちらをご参考ください。

今回の参考図書

(1)低周波音被害の恐怖―エコキュートと風車

(2)超低周波音―基礎・測定・評価・低減対策

(3)低周波音症候群―「聞こえない騒音」の被害を問う

(4)道路公害と低周波音

(5)第22回交通工学研究発表会論文報告集


※1 汐見文隆(2006)『低周波音症候群』アットワークス 第三章 和歌山メリヤス工場などの事例


文明や技術が発達すると、思わぬものが健康を邪魔したりするのね(・∀・)

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