携帯電話で脳腫瘍になる?-電磁波で脳に悪影響“クッキング・ブレイン”のお話

最近言われ始めている「携帯電話・スマホの電磁波」の危険性。でも、インターネット上できちんとまとめられた記事が少ない状況です。

今回は2冊の参考文献を底本とし、電磁波やスマホの危険性についてまとめてみました。

   

電磁波ってなに?

まず、「電磁波とはなんぞや」から。

電磁波とは「電場と磁場の変化により空間を伝わる波」の総称です。
電磁場
(参考:二間瀬敏史、麻生修(1999)『図解雑学 電磁波』ナツメ社 )

上図のように、電流がながれると磁場・電場が次々と生まれ、状況に応じて変化します。

空気がなくても伝わります(だからスペースシャトルなど宇宙空間での通信が可能)。

ちなみに音(音波)は電磁波ではありません。
これも「波」なのですがある振動が空気中を伝わる現象を指します(なので空気がない宇宙では音は伝わらないし聞こえません)。

▼電磁波の種類は下記のようになります。

電磁波
(出典:総務省「電波と安心な暮らし」http://www.soumu.go.jp/main_content/000251234.pdf)

送電線やTV・ラジオなどに使われる電波から、太陽光、コタツの赤外線、紫外線、原子爆弾の放射線まで、全てが「電磁波」なのです。

その中で最近問題になっているのが携帯電話やスマホのマイクロ波。携帯のマイクロ波は電子レンジよりは威力が弱いのですが、周波数・波長的には同じグループに分類されます。
高周波
(参考:電磁界情報センター「電磁界の性質」http://www.jeic-emf.jp/ih-oven.html ほか)

図の右側ほど波長が短く「エネルギーが高い」とされる電磁波になります(注:エネルギーの大小は、厳密には「波の高さ(振幅)」も関係し、周波数と波長だけでは決められません)。

なんで携帯電話が問題なの?

ではなぜ携帯電話の電磁波が危険なのかというと「マイクロ波という高周波の器具で、かつ身につけて使うもの」だからです。

これまでの生活家電はほとんど「低周波」や「中間周波」のものばかりでした。高周波(マイクロ波)の電子レンジがありますが、これは身につけて使うものではありません。

翻って携帯電話はマイクロ波であり、身につけて使うことが多い器具です。電子レンジよりは威力が微弱のため、携帯で通話をしていても、すぐに耳や頭が熱くなったり破裂したりはしません。しかし、長時間・長期使用した場合に健康に悪影響が出る可能性が明らかになってきたため、世界中で注目されるようになったのです。

特に、携帯電話の使用で「脳腫瘍」のリスクが高まると言われているのです。

米・脳外科医のキース・ブラック氏(シーダース・サイナイ病院脳神経外科部長)はこう言いました。

「電子レンジに使われているのと同じマイクロ波を発する携帯電話を頭に押し当てるのは、基本的に『脳を料理する(クッキング・ザ・ブレイン)』のと同じことなのです」(*1)

研究の動き

現在、世界中で携帯電話の健康被害に関する研究が行われています。

北欧やイスラエルを始めとしたヨーロッパ周辺諸国では特に研究が盛んなようです。
・十年以上の携帯電話使用者は、携帯電話耳に押し当てた側の聴神経腫(脳腫瘍)リスクが3.9倍増加(*2)
・携帯電話を頻繁かつ長時間使う人は脳腫瘍リスクが1.5倍増加(*3)

WHOでは世界13カ国で実施した「インターフォン研究」で、2010年に「携帯電話と聴神経腫(脳腫瘍)に関連性がない」と報告しています。(*4)

ですが一部の科学者からは「調査方法に問題が有り、脳腫瘍リスクが低くでるような方法だった」という指摘があります。

また、実験データを報告時に全て公開せず、一部の内容をある学術誌上で別に発表を行っているため「意図的にリスクを低く見せるようにしているのではないか?」という疑問が残ります。(*4)

その他、男性の精子にも悪影響が示唆されています。
精液に携帯電話の電磁波を1時間浴びせただけで、精子の運動率が7%、生存率が11%低下したという研究もあります。(*5)

子供は特に危ない

さらに、年齢が若いほどの携帯電話の影響は明確にでます。

20才前後に携帯を使い始めた人神経膠腫に5.2倍、聴神経腫に5.0倍なりやすい(*6)

・成人男性に比べ、5歳時は脳で4倍以上、目で12倍以上の電磁波の熱を吸収する。
また、同様に10歳児は脳で2.5倍以上、目で5倍以上の熱を吸収する。(*7)

子供が電磁波の影響をうけやすいのは、頭の骨や皮膚が大人に比べて薄いため電磁波に対して脆弱なのではないかと言われています。

そのため、子供に携帯電話やスマホを安易に使わせる風潮には疑問が残りますし、ヨーロッパでは禁止の方向で動いています。

世界的な状況

以上のような研究を踏まえ、ヨーロッパでは携帯電話の安全対策を加速させています。
・携帯電話基地局の撤去と申請却下(イギリス、2003-2006年)
・憲法を改正し、携帯電話の電磁波から健康を守るよう環境憲章を追加(フランス、2005年)
・携帯電話と電磁波の規制強化(欧州議会、2008年)
・携帯電話と基地局の電磁波曝露規制強化(欧州議会、2009年)
・子供の携帯電話使用制限、もしくは禁止勧告(欧州各国)
(*8)

じゃあどうすればいいのか?

欧米に比べ、残念ながらというか想定内というか、日本では議論や規制・対策が活発ではありません。「携帯の電磁派が危険という人のほうが危険」という人さえいるようです。

ですが、上記のような研究報告を見て「携帯電話は安全」と言い切れる人は少ないと思います。科学的な心得がある人なら余計にそう感じるでしょう。

日本の政府やメディアを見ていても頼りがいがあるように見えませんし、産業・経済界が好き好んで「携帯電話の電磁波規制」に手をあげようとはしないでしょう。

なので、自分自身が知識を得て対応しないといけません。

ピッツバーグ大学がん研究所の『10の予防的手段』(*9)が良いと思いますので引用します。ご参考になさってください。

また、アルミホイルは電磁波を遮断しますので、携帯電話をアルミホイルに巻いて置いておくのも効果的だと思います。


<ピッツバーグ大学 10の予防的手段>
1.緊急時以外には子どもに携帯電話を使わせない。成長の途上にある胎児や子どもの組織は、大人より電磁波の影響をはるかに受けやすい。

2.携帯電話で通話するときは、端末を身体からできるだけ離すこと。身体から6センチも離せば電磁波の強さは4分の1にもなる(90センチ離せば、50分の1になる)。スピーカーフォンタイプの装置やヘッドセットを使えば、100分の1以下になる。

3.バスなど乗り物の中で使用しない。他の乗客に電磁波を曝露させることになるから。

4.携帯電話を常時身体に密着して持ち歩かないこと。寝るときに枕元に置くことも止めること。特に妊娠中は厳禁である。そうしたいのなら、電源をオフにする

5.身体につけて持ち歩かざるを得ないなら、携帯の「向き」に気をつけること。操作キーが並んでいる面を身体の側に向けるようにすること。そうすると、電波が身体を透過する割合が減る。

6.携帯電話の通話時間はできるだけ短くすること。通話時間が長くなればなるほど、身体への影響が大きくなる。これはコードレス電話でも同じである。

7.(携帯電話で通話する場合は)あてる耳を右側、左側と交互に切り替えること。また、電話をかける場合は、通話相手が電話に出てからはじめて端末を耳に近づけること。これで、強い電波が出ている間の曝露をある程度抑えることができる。

8.電波の弱いところや高速で移動している場合などは、通話しないこと。このような状況では、近接した基地局とつなげるため、最大出力の電波を頻繁に出すことになるから。

9.通話でなくメールで済ませられるならそうする。メールなら身体から端末をかなり離した状態で使用するので、曝露量が抑えられる。

10.SAR値(※)の最も小さい機種を選ぶこと。各機種のSAR値はそれぞれのメーカーのホームページに公開されている。


※SAR値…人体に吸収される電磁波熱量の基準値のこと。各機種の値はメーカーホームページに公開(下記参考↓)

docomo:携帯電話の比吸収率(SAR)について
au: au電話の比吸収率について
ソフトバンク:製品別SAR値(人体に与える電波の影響評価)を確認する
iPhone:RF Exposure

#SAR値が小さいほど体への影響が少なくなります。
#日本では「局所SARが2.0W/kgの許容値を超えないこと」と決められています。

自分で勉強をしたい方へ

今回の参考文献はかなりためになりますよ。ほかにも色々な情報がありました。

   

文中の注釈(*)は下記のとおりです。

<注一覧>

*1 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.26
*2 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.97-98
*3 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.100
*4 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.104-114
*5 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.124-127
*6 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.118-120
*7 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.120-123
*8 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.142-174
*9  “10 Tips: Cell Phones & Limitibg Radiation Exposure”(KDKA-TV Pittsburgh,July 23,2008) http://kdka.com/seenon/cell.phones.tips.2.777727.html

以上をご参考のうえ、適切な範囲でのケータイ・スマホライフをお楽しみ下さいm(__)m


ワタクシ自身も改めて色々気をつけよう・・・と思いました(´・ω・`:)

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コメント

  1. ぼぼんぽん より:

    ほぼ参考文献一冊(矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書)ですね。
    脳腫瘍の増加率を実験した論文は無いんですか?
    それが無いと判断できませんね。
    マイクロ波という響きだけで電子レンジと混同してる人が多いきがしますねぇ。

    • 千鳥整体師 より:

      コメントありがとうございます。
      ご指摘のとおり参考文献はほぼ一冊のみで「電磁波の危険性の正しさ」という意味では保証はできません。
      ただ、この一冊で引用されている論文を見るだけでも携帯電話などの電磁波の危険性は留意しておいたほうが良いなと考えています。
      エビデンス、本当に正しいかどうかが立証されるまでには時間がかかるものです。
      その間に、なんの注意もなく電磁波に触れていた結果、病気になるというケースが少なくなるといいなと思います。

  2. 脳腫瘍になりました より:

    寝るときに左側にスマホを置き、電話にでる時も左だけでした。
    外回りが仕事なので毎日のように電話をしてました。
    そのせいなのかはわかりませんが、左側に脳腫瘍(良性)が出来ました( ;∀;)
    手術して取ってしまったんでまあいいんですが。
    「携帯電磁波の人体影響」が気になりましたんで、効果はあるのか無いのかわかりませんが試してみるのもいいかと思いましたんで、詳しく読んでみようかと思います。

  3. 名もなき社会人 より:

    一概に判断しかねる問題であると思います。
    影響があるか無いかという極論で判断するならば、影響ありだと思います。
    しかし、論文数が少ないことWHOが発表していることを含めますと社会的にあまり問題とされていないのではないでしょうか?
    予防はもちろん重要ですが、過敏反応しすぎることも問題となると私は考えます。

    • 千鳥整体師 より:

      コメントありがとうございます。
      人によって電磁波の影響が異なるというのは私も同意見です。
      危険性をむやみに煽って問題視するつもりはありませんが、携帯の電磁波が危険である可能性は、お伝えしたいなと考えています。

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